ご家庭ではいろんな工夫をして、それぞれのミキサー食を作っています。そんな素敵で個性あふれる【わが家のミキサー食】をインタビュー形式でご紹介します。

写真①-1

写真①-2

写真①-3

写真①-4
(今回は、26歳になる娘さんのお母さんからの寄稿です。インタビューも交えてお届けします。)
私の娘は交通事故により、上下肢麻痺になり口から食べられなくなりました。事故から7か月後に胃ろうを造設しました。当初は栄養剤を注入することしか知らず、1週間に一度の割合で嘔吐し抗生物質を点滴するという生活の繰り返しでした。一年半後にミキサー食を知り、あげるようになってからは嘔吐もしなくなり、便や肌の状態が改善されました。
☆ミキサー食をあげる頻度について
朝食と夕食をミキサー食にしてあげています。昼食は生活介護施設で、栄養剤を滴下で注入しています。一日一回程度であれば、嘔吐の心配もありません。また、施設から帰ってきてからおやつも少量ですがミキサー食にしてあげています。
☆ミキサー食に使用している機材について
我が家のミキサー食作りに欠かせない三つの必需品(写真①-1,写真①-2,写真①-3)です。
我が家ではミキサー食を作るのに、イワタニのクラッシュミルサー(写真①-1)を使っています。大(260ml)小(75ml)の容器が、娘の必要量(1食300ml)を作るのに丁度良い大きさです。また、このミルサーはカバーを押えることがスイッチになるのでつきっきりになりますが、2分まで稼働させることができます。ミキサー食は1分以上回すと注入しやすくなめならかになります。
☆補助剤について
ミキサー食を注入し始めた時、ミキサーが回らず(特に炭水化物をかけるとき)加水していました。
そのため、体重が少しずつ減ってしまいました。炭水化物はミキサーにかけるとべたつきで機械に負担をかけてしまいます。宮源の酵素パウダー(写真①-2)を知ってから、加水することなくミキサー食を作ることができるようになりました。酵素パウダーを使うようになってからは体重も順調に増え、ミキサー食の量を減らしています。
☆胃ろうについて
オリンパスのイディアルボタン(写真①-3)を使っています。栄養用接続チューブのbolus投与用、10cmをミキサー食注入に使っています。チューブの長さも短く、固めのミキサー食でも手指に負担をかけることなく注入できています。オリンパスにはずっと作り続けていただきたいです。
☆ミキサー食で特に気を付けていることについて
5色の食材を意識して献立を考えています。根菜類、海藻、きのこなどもミキサー食に加えて注入しています。繊維質の多い食材は細かくキッチンばさみで切ってからミルサーに加えています。濾し器を通す必要がなくなり、そのままシリンジで注入できるからです。ひき肉や軟骨の多い肉、小骨のある魚は濾し器で通してから注入しています。ミルサーでも細かくできず、胃ろうの弁に引っかかってしまうためです。2日に一度グリセリン浣腸液を使って排便を促していますが、色々な食材を使うことでバナナ状の便が出ます。栄養剤ではずっと下痢だったので、ミキサー食にして便の処理も楽になりました。
☆脱気について
娘は筋緊張から空気を飲むことが多く、胃や腸に空気がたまり圧迫してしまうことがあります。緊張が強いときは減圧用接続チューブ(写真①-4)を胃ろうに接続して開放しています。お腹を圧迫しているときは険しい表情をしていますが、空気がスーと抜けた途端にほっとした表情に変わります。
(インタビューアーからの感想)
★胃ろう設置から1年半後にミキサー食注入を始めたことによって、下痢、嘔吐が改善し生活が一変したことが良くわかりました。通園施設では栄養剤滴下を、自宅ではミキサー食注入をすると決めて、介護の負担がかからないような工夫を教えていただきました。短い胃ろう接続チューブや、量を毎回計らなくて済むような機材を使用しているのですね。日常的に脱気が必要不可欠な娘さんのために、素早くできる減圧用チューブも使用されているのですね。宮源の酵素パウダーでのお粥作りはとても使い勝手が良さそうですね。
(インタビューアーからの質問)
☆胃ろう接続チューブやシリンジは旧規格製品を使用されているのでしょうか? その理由と旧規格製品の入手方法を教えていただけますか?
ミキサー食注入や脱気のための接続チューブは、旧規格を使用しています。我が家のミキサー食は固めで手首への負担が大きいです。新規格では更に負担が大きくなります。また、新規格のシリンジではミキサー食を空気を混ぜることなくきれいに吸い取ることができません。そのため旧規格を使って食事や薬をあげています。胃ろう交換の時の付属品は減圧用接続チューブと栄養用接続チューブ(60cm)だけなので、ミキサー食で使用しているbolus投与用はPDNショップで自費購入しています。2年ほど前から付属品接続チューブも新規格を支給されるようなってしまったので、主治医の先生の指示書をいただいて協和医科器械から自費で旧規格減圧用接続チューブも自費購入しています。新規格減圧用接続チューブの口は狭く、旧規格のように脱気がスムーズにできるのか、嘔吐の時はシリンジで吸い取ることもあり、そのような急を要するとき新規格シリンジで問題なく吸い取れるのか心配です。
付属品として支給されているチューブは使うことが出来ず、自費で負担していますが、娘が毎日笑顔で生活するためには旧規格接続チューブは大切なデバイスです。ユーザーは少なくなっているかもしれませんが、企業には作り続けていただきたいと願っております。
詳しくお話をしていただきありがとうございます。次回は「唐揚げ」を使ったミキサー食メニューをご紹介していただきます。お楽しみに、、。